介護の問題を解決!介護保険のお話 ~在宅サービス編④~

これまで在宅で生活を続けていく方々に向けて、介護サービスのご紹介をしてまいりましたが、在宅サービス編については今回が最後となります。

今回は住環境に関する内容を出来る限り分かりやすくお伝えしていきたいと思います。

目次

福祉用具の貸与・特定福祉用具の販売

福祉用具には貸与(レンタル)と販売の2パターンがあります。

福祉用具の貸与

レンタル出来る福祉用具は

手すり
介護用ベッド
車椅子
スロープ

などが代表的です。

もう少し詳しく説明をしていきましょう。

手すり

ソファーから立ち上がる時に使ったり、普通の木製ベッドに手すりが付いていなく立ち上がりなどが難しい時、玄関の上がり框などの段差昇降の時に掴まる箇所が無い時などに活用します。

工事をせずに置き型のタイプですので、「自宅に穴を空けたくない」「借家だから工事ができない」といった場合にも便利です。

床に置くタイプだけでなく、天井と床を突っ張るタイプの手すりもありますので、用途やご自宅の状況に合わせて活用が出来ると思います。

手すりを設置するだけで、安心感が生まれ転倒に対する不安が軽減されるという方が多いです。また、「介護サービスは手すりだけ借りてます」という方もいらっしゃいます。

利用できる方は要支援1・2と要介護1~5の方です。

介護用ベッド

介護用ベッドのレンタルになります。テレビのCMで見ることも多くなりましたね。

介護保険上の名称は「特殊寝台」となり、ベッド用の手すりなどは「特殊寝台付属品」となります。

(特殊寝台=「背の角度を調整できるもの」「ベッドの高さを調整できるもの」など)

(特殊寝台付属品=「マットレス」「ベッド用手すり」「サイドレール」「介護用テーブル」など)

介護用ベッドで注意が必要なのは、要介護2~5の方が利用できるという点です。

つまり、要支援・要介護1の方は原則介護保険でのレンタルができません

ただ、例外として医学的判断で必要性があるといった場合パーキンソン病・ガン末期の方などの場合で、主治医等から意見書をいただき、行政に申請をすることでレンタルすることができます。これを「軽度者に対する福祉用具レンタル申請」(以下、軽度者申請)といいます。

車椅子

歩行での移動が困難な場合には車椅子をレンタルすることができます。

種類としては、「自走用車椅子」「介助用車椅子」「普通型車椅子」「電動車椅子」があります。

車椅子付属品としては、「クッション」なども含まれます。

車椅子の種類はとてもたくさんありますので、どれが良いのかは目的に合わせて選ぶと良いでしょう。

例えば、「父は一人で歩くことができないから、必ず私(介護者)が押して移動をする」とか「父は自分で車椅子を漕いで移動することができる」とか「背中が丸まっているので(円背)、普通の車椅子だと身体に合わない」などです。

父は一人で歩くことができないから、必ず私(介護者)が押して移動をする」の場合は、介助用車椅子や普通型車椅子

父は自分で車椅子を漕いで移動することができる」といった場合は、自走用車椅子

背中が丸まっているので(円背)、普通の車椅子だと身体に合わない」の場合は、モジュール型車椅子

といった具合に選ばれることが多いと思います。

その人に合った車椅子は担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員などに相談すると的確に選んでくれますので、気軽に相談をしてみると良いでしょう。

ただ、車椅子のレンタル(車椅子付属品含む)でも、介護用ベッドと同様、要介護2~5の方がレンタルできますが、要支援・要介護1の方は「軽度者申請」が必要になりますのでご注意ください。

※電動ベッドまでは必要が無いという方には、自費レンタル(介護保険を利用しない)で「木製ベッド」がレンタルできる場合もあります。

スロープ

車椅子に常に乗っているんだけど、自宅前に階段や段差があって上り下りが難しい」「自宅の敷居が高くて移動が困難」といった事は無いでしょうか?

そういった時には「スロープ」のレンタルをすることができます。

外玄関などは住宅改修をすることもありますが、「工事は費用が高くてしたくない」「すぐにスロープが必要だ」といった時にも活用ができます。

利用できる方は要支援・要介護1~5の方です。

種類は複数あります。

外玄関に使用する時は「折り畳み用スロープ」

敷居の段差解消には「段差解消用スロープ」

といった感じです。

その他

上記4点以外にもレンタルできる用具はあります。

  1. 歩行用補助杖 ※対象者(要支援1・2、要介護1~5)
    • 4点杖や松葉杖が対象となりますので、一本杖に関しては購入となります。
  2. 歩行器 ※対象者(要支援1・2、要介護1~5)
  3. 床ずれ防止用具 ※対象者(要介護2~5)
    • エアマットやウォーターマットなどです。
  4. 体位変換器 ※対象者(要介護2~5)
  5. 移動用リフト ※対象者(要介護2~5)
  6. 認知症老人徘徊感知機器 ※対象者(要介護2~5)
  7. 自動排泄処理装置 ※対象者(要介護4~5)

などがあります。

介護保険制度の中でどの福祉用具がレンタルできるのか?は難しい面があります。

「今困っている」や「これから困りそう」な時は、気軽にケアマネジャーに相談してみましょう。

レンタル料金については、その方の収入に応じて1割~3割になります。詳しくは自治体から交付される「介護保険被保険者負担割合証」を確認してください。

特定福祉用具の販売

販売で取り扱う用具は

  • 入浴用補助用具(入浴用椅子・浴槽内椅子・入浴台など)
  • 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
  • 簡易浴槽
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 移動用リフトのつり具

などがあります。

レンタルと購入で分けられているのは、

利用者の肌に直接触れる福祉用具は使い回しが難しい

ためです。

トイレの用具やお風呂の用具は購入」と覚えておくと概ね把握できるかと思います。※ちょっと雑な覚え方かもしれませんが・・・( ´∀` )

購入の料金は、福祉用具レンタルと同じで1割~3割になります。詳しくは自治体から交付される「介護保険被保険者負担割合証」を確認してください。

まとめ

ここまで福祉用具に関して説明をしてまりましたが、私が業界に入った時より非常に充実した環境になっています。

私がケアマネジメントする時には、まず環境整備で在宅生活が継続できるかを考えます。

福祉用具を使用する事で、在宅生活が継続できるのであれば活用するべきだと思うのです。

もちろん、家族の介護力も考慮しながらですが。

福祉用具を導入するには、ケアプランに明確な理由を記入する必要があるので、「歩くのが大変で車椅子を借りたいと言っているから借りましょう」と単純にはいかないのです。

福祉用具に依存をするのではなくて、使用する時は「自分の出来る限り力を使って生活する※残存能力の活用」が大切だと思っています。

福祉用具を適切に使用しながら、残存能力を活用し、自立した生活に一歩でも近づけられないか?

という思いです。

今後もその思いを大切にしながらケアマネジメントを続けていき、利用される方が自分らしい生活ができるお手伝いをしていけたらと思っております。

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