このブログをご覧になっている方は、「今、介護のことで困っている」とか「将来必要になりそうだ」などの理由があると思います。
介護保険の仕組みはなかなかややこしいものがあり、勉強をしていても難しいです。
実際の現場を見続けている私が、できるだけ分かりやすく伝えていこうと思います。
目次
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
特別養護老人ホームについて教えてください。
特別養護老人ホームとは、要介護3~5の認定を受けられており、在宅で生活する事が難しい方が入居される施設になります。
24時間常駐しているスタッフがいるため、日常生活に介護の必要な方や認知症の方でも安心した生活環境で過ごす事ができます。
主な特徴
- 要介護3~5の方が利用できる(特例で要介護1~2の方でも入居できる場合有り)
- 24時間介護職員がおり、日常生活の介護(食事・排泄・入浴など)や健康管理を行う
- 現在は個室(ユニット型)が主流、多床室は減少傾向
- 利用金額は【介護保険自己負担額】+【食費・居住費・日常生活費】
- 利用金額は要介護度やお部屋のタイプによって異なる
- 所得の低い方への軽減措置あり
色々ありますけど、メリット・デメリットはありますか?
メリット
- 24時間介護職員がいるので体調管理や介護が安心
- ユニット型であれば家庭的な雰囲気で生活をすることができる
- 認知症の方でも利用可能
- 地方公共団体や社会福祉法人などが設置でき経営面は安定している
- 所得に応じた負担軽減制度が有り、費用負担が抑えられる
- 長期間(お看取りまで)の入居が可能
デメリット
- 医療依存度が高くなると利用継続が難しい可能性あり
- リハビリを積極的に行う施設ではない
- 日中、趣味活動やレクリエーションなどの予定が無ければ余暇時間が長い
- 要介護3未満になると原則退所しなければならない(特例有り)
などが挙げられます。
介護老人保健施設(老健)
老健について教えてください。
介護老人保健施設は、要介護1~5の方が入所することができます。長期間住む施設ではなく、病院と自宅の中間施設といわれている施設です。
例えば若い世代の方々なら・・・
【自宅で転倒をしてしまい骨折】→【病院へ入院し人工関節置換術を行い、リハビリを始める】→【リハビリが終了し自宅へ帰る】
といった流れが一般的になります。
しかし、高齢世代になってきますと・・・
【自宅で転倒をしてしまい骨折】→【病院へ入院し人工関節置換術を行い、リハビリを始める】→【リハビリ期間は終わったが自宅へ帰って生活するにはリハビリの継続が必要】→【介護老人保健施設でリハビリを継続】→【リハビリが終了し自宅へ帰る】
といったように退院した後にワンクッション挟む機能を介護老人保健施設が担っています。
特別養護老人ホームのように長期間の入居ができるイメージをお持ちの方がいらっしゃいますが、終身利用はできない施設で、リハビリの実施がメインとなる施設ですので注意が必要です。
主な特徴
- 要介護1~5の方が利用できる
- リハビリに重点を置いた施設で在宅復帰を目指す(病院と自宅との中間施設と言われています)
- 24時間介護職員がおり、日常生活の介護(食事・排泄・入浴など)や健康管理を行う
- 利用金額は【介護保険自己負担額】+【食費・居住費・日常生活費】
- 利用金額は要介護度やお部屋のタイプによって異なる
- 所得の低い方への軽減措置あり
なるほど。メリットとデメリットは?
メリット
- 24時間介護職員常駐、施設によっては看護職員も常駐している
- 看護職員が24時間常駐している施設は痰の吸引、経験栄養などの対応可能
- 地方公共団体や医療法人などが設置でき、経営面は安定している
- 医師、看護師、リハビリ専門職、管理栄養士など医療的な面でのケアが手厚い
- リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が常駐、積極的なリハビリを実施
- 所得に応じた負担軽減制度が有り、費用負担が抑えられる
デメリット
- 入所期間が原則3か月~6か月程度で退所しなければならない(進捗状況により延長可)
- 多床室(複数人のお部屋)での対応が多い※近年はユニット型の老健もあり
- 洗濯や個人の買い物は家族対応になる可能性が高い※洗濯は業者委託の場合あり
などが挙げられます。
介護医療院
※本来介護保険3施設というのは「介護療養型医療施設」になりますが、廃止・転換の方針ですので介護医療院の説明をいたします。
介護医療院ってなあに?
主な特徴
- 要介護1~5の方が利用できる
- 日常的に医療処置が必要な方が、介護保険(医療保険ではない)を利用して療養できる
- 利用金額は【介護保険自己負担額】+【食費・居住費・日常生活費】
- 利用金額は要介護度やお部屋のタイプによって異なる
- 医学的管理(痰の吸引、経管栄養、点滴処置など)を受けながら生活(食事・入浴・排泄等の介助)ができる
良い面と悪い面はあるの?
メリット
- 医師、看護師などの医療職が常駐しており、医学的管理が常時必要な方でも受け入れが可能
- 介護療養型医療施設(どちらかというと病院のような生活)よりも「生活の場」を意識している
- 長期療養、お看取り、ターミナルケアの対応をしている
- 24時間介護職員・看護職員が常駐、施設によっては医師が24時間常駐しているところもある
デメリット
- 病院のような多床室が多く、プライバシーが十分に守られない可能性がある
- 医療処置が多い方は寝たままの生活が多くなる可能性がある
などが挙げられます。
まとめ
介護保険の施設はたくさんあるので、どの施設がどのような特徴を持っているのか分かりにくいと思います。
体調を崩して入院して、退院をする時に病院から「施設を探してください」と言われることも多いと思います。
病院の相談員が提案をしてくれたり、今まで担当していたケアマネジャーが探してくれたりしますが、私としては施設に必ず見学に行き、「職員の対応」や「施設の雰囲気」を見て、感じてほしいと思います。
職員の対応としては、「挨拶」「言葉遣い」「表情」「施設内の歩き方」などを見てください。
施設の雰囲気としては、「施設内の音」「匂い」などに気を付けて感じてほしいと思います。
見学中にすれ違った職員が挨拶をしてくれないと不安になりますよね。
施設内の音については、職員が私語をしていたり、扉を閉める音が響くなども同様です。
介護業界もホスピタリティ(おもてなしの心)を重要視してきていますが、十分とは言えない施設があるのも事実です。
入所した後に気付いて後悔をしないようにしていただきたいです。
その一助となれば幸いです。
コメント